ガイド

個人開発2026年11月5日約5分

辻直哉

私は KOMARO(日程調整)、ツモル(毎日の記録)、Dogfight(戦闘機の対戦ゲーム)を App Store に出しました。その途中で、審査に合わせて4回止められています。何を言われ、どう直したかを、作業の記録から順に書きます。

4回の一覧

ガイドラインは、Apple が公開している審査の決まりです。番号で指摘が届きます。

日付アプリガイドライン言われたこと
2026-08-26KOMARO2.1審査に要る情報が足りない
2026-08-26ツモル2.1同上
2026-09-18ツモル5.1.1(v)アカウントを作れるのに消せない
2026-10-30Dogfight2.3.7「無料」は値段の言葉

2.1 は「情報を出してください」という差し戻しで、却下ではありません。残りの2回は却下です。

1・2回目:2.1「情報が足りない」(KOMARO・ツモル)

何を言われたか

同じ日に、2本とも同じ指摘でした。機能の問題ではなく、新しいアプリについて審査に要る情報が足りない、という内容です。求められたのは次の7点でした。

  1. 実機で撮った画面の録画
  2. 試した端末と OS
  3. 機能・対象の人・解決する困りごと
  4. 主な機能までの手順
  5. 使っている外部サービス
  6. 地域による違い
  7. 規制のある業種か、他者の権利物を含むか

なぜそうなったか

審査メモ(審査担当者に向けて書く説明の欄)が薄かったのが一つです。KOMARO は「ログイン不要」と5つの手順だけでした。

ツモルには、もう一つ原因がありました。最初の画面にメールとパスワードの欄がいきなり並び、「この端末だけで使う」は画面のいちばん下に13pxのグレーの字でした。欄が並んでいれば、それが入る条件に見えます。審査担当者は中に入れなかったのだと思います。はじめて開いた人も、同じところで引き返します。

どう直したか

KOMARO は、3〜7を英語で審査メモに入れました。外部サービスには、音声や画像から候補日を読む任意の機能で使う Gemini API と、端末の中で文字を読む Tesseract.js を書きました。Apple は AI のサービスを名指しで聞いていたからです。

1の録画は、シミュレーター(Mac の上で動く仮の iPhone)では足りません。Apple は実機での録画と明記していました。TestFlight(公開前のアプリを配る仕組み)で自分の iPhone に入れ、ホーム画面でアイコンを押すところから、作成・回答・集計まで91秒を撮りました。Mac から iPhone を操作する画面ミラーリングは、録画を始めると接続が切れました。録画は iPhone 本体で撮るしかありません。

169MB の動画は、次の1行で約1.9MB に縮めて添付しました。縦を1280pxにし、音を外しています。

ffmpeg -i in.MP4 -vf scale=-2:1280 -c:v libx264 -crf 28 -an -movflags +faststart out.mp4

返信の本文は3,991字です。欄の上限は4,000字なので、削って収めました。10月15日に送ると、まず「審査を続けます」という定型の返事が来て、その3分後に審査が終わり公開されました。この差し戻しは返信だけで再開します。「再提出」のボタンは押せないままで正常でした。8月26日から、録画を撮るまで約7週間止まっていました。

ツモルは、最初の画面を同じ大きさの2つのボタン「ログインする」「アカウントなしで使う」に変えました。欄はログインを選んだ人にだけ出します。審査メモの冒頭も「アカウント不要。2つ目のボタンを押せば入れる」にしました。古いメモは今の画面とタブの数や名前が食い違っていたので、全部書き直しています(3,997字)。録画は付けずに9月16日に出し直しました。次に返ってきたのが、3回目の指摘です。

次からの予防

審査メモの雛形を作り、3〜7を最初の提出から入れるようにしました。日本語のボタン名は「作成(Create)」のように英訳を並べて書きます。実機の録画も、TestFlight で入れる段取りを先に用意しておきます。

3回目:5.1.1(v)「アカウントを消せない」(ツモル)

何を言われたか

9月18日に却下されました。アカウントを作れるのに、アプリの中で削除できない、という指摘です。出し直すには、削除の機能と、作成から削除までを撮った実機の録画が要る、とありました。

なぜそうなったか

ツモルはアカウントなしで使えます。ただ、2台の中身をそろえる(同期する)ために、ログインもできます。作る入口はあったのに、消す入口を作っていませんでした。

どう直したか

設定のアカウント欄のいちばん下に、赤い「アカウントを削除」を置きました。押すと確認の画面が出て、削除するとログアウトした状態に戻ります。サーバーの側は、ログインしている本人のデータだけを消せる仕組みにし、ログインしていない人からは呼べないことを確かめました。端末の中の記録は残すと決めました。

審査メモには「ACCOUNT DELETION」の節を足し、設定からの手順を書きました。録画は付けずに10月13日に出し直し、10月14日に公開されました。録画は求められませんでした。

次からの予防

ログインを作るときは、削除も同時に作ります。削除までの手順は審査メモに書きます。

4回目:2.3.7「無料は値段の言葉」(Dogfight)

何を言われたか

10月30日に却下されました。対象はサブタイトル(アプリ名の下に出る短い一文)の「友達とすぐ対戦。登録なし・完全無料」と、スクリーンショットの「完全無料」「100% FREE」です。Apple の文面には「references to free or discounted services are considered a price reference」とありました。無料をうたうことも値段の話になる、という意味です。説明文に書くのは問題ありません。

なぜそうなったか

Dogfight でいちばん押し出したいのは「友達と、完全無料で、すぐに対戦」でした。人気の戦闘機ゲーム12本のストアページを見比べたとき、無料を画像で言っているものはありませんでした。私はそこを差にしようと、サブタイトルと1枚目の画像に入れました。

2.3.7 は、名前やサブタイトルなどに、値段の情報や関係のない言葉を詰め込まないという決まりです。実在の機体名を説明文に入れないことは、この 2.3.7 を見て決めていました。値段の言葉も同じ項目にありました。

どう直したか

  • サブタイトルを「友達とすぐ対戦。登録なし・最大8人」に。英語も「Free jet battles with friends」から「Instant dogfights with friends」に
  • 1枚目の画像の札を「登録なし・最大8人・すぐ遊べる」に
  • フリーモードの英語の札「FREE」も、値段の言葉と読まれないよう「ENDLESS」に
  • 説明文とプロモーション文の「完全無料」は残す

画像を作るスクリプトには「値段の言葉は画像に入れない」と書き残しました。11月4日に出し直し、承認されました。

次からの予防

無料であることは説明文で伝えます。サブタイトルと画像には、人数や遊び方など中身の言葉を入れます。

出す前に確かめる5つ

  1. 審査メモに、機能・手順・外部サービス・地域差・規制の5点を入れたか。AI のサービスは、名前と必須か任意かまで書いたか
  2. 実機で録画できるよう、TestFlight で自分の iPhone に入れられるか
  3. ログインなしで使えるなら、その入口が最初の画面で見えるか
  4. アカウントを作れるなら、アプリの中で削除できるか
  5. サブタイトルと画像に「無料」「Free」がないか。審査メモ・説明文・画像が今の画面と合っているか

まとめ

4回とも、直したのは主に審査担当者に見せる情報と入口でした。1・2回目と3回目は、ツモルの入口と削除の機能も直しています。

書いた人